
2018年に結成15年を迎えたジャルジャルにインタビュー。彼らにとってラストイヤーだった『M-1グランプリ 2018』も終わり、今後挑戦していきたいことや自身の夢などを語ってもらった。
2018年で結成15年を迎えたジャルジャル。
この年の「M-1グランプリ」は彼らにとってラストイヤーということもあり、周囲の期待は最も高かったのではないだろうか。
惜しくも優勝は逃したが、放送終了後のTwitterなどのSNSでは、「ジャルジャルはやっぱりすごい!」と賛辞の嵐。披露したネタ、「国名わけっこ」も話題となった。
長い間、第一線で活躍しているジャルジャルだが、注目度はさらに急上昇している。
そんな彼らが2018年に開催したツアーのDVDが発売中。全国4都市、7公演の全国ツアー「JARU JARU TOWER 2018 ジャルジャルのたじゃら」の最終日、東京公演の様子を収録。
実は単独ライブをDVD化するのは初めてだとか。
ファンはもちろん、テレビやYouTubeでしか観たことがないというかたも必見! ツアーならではのジャルジャルの世界を楽しめます。
単独ライブツアーでは、ジャルジャルではの独特なストーリー性のあるコント構成に
2018年の単独ライブツアー「JARU JARU TOWER 2018」拝見しました。すごく面白かったです!
後藤淳平(以下後藤):ありがとうございます!
福徳秀介(以下福徳):ありがとうございます!
12本のコントはすべて、2人の登場人物のうち片方が舞台上に残ってそのキャラクターのまま次のネタに進行する……という展開でした。最後のオチも始まりと繋がっていて、一つの作品としてすごく楽しめました。
後藤:単独ライブはいつも繋がりのある構成になっているんですが、前回はVTRを使ったんです。それで今回はVTRを使わずに何か面白いことをやりたいねっていう話になって、そういう構成になりました。
今回のライブの反響はどうでしたか?
福徳:ライブの後は必ずアンケートをとって、すべて読んでるんですけど、おっしゃっていただいたように「一つの作品として楽しめました」とか「ドラマみたいなストーリー性が面白い」というお褒めの言葉をたくさんいただいて。
ただ一枚だけ、「一つのドラマとしては面白かったです。でも冷静に見た時に、一つひとつのコントは弱いかもしれませんね」って書いてあるアンケートがあって(笑)。「うわ、めっちゃちゃんとコント見てくれてるな〜!」って思いました。そこはちゃんと改善していかないところですね。
後藤:そうそう、だから途中で観るのやめちゃった場合、だいぶ弱いかもしれない(笑)。
観ていない人にとってはネタばらしになるので内容はあまり言えませんが、お気に入りのネタがあったら教えてください!
福徳:僕は「役者論が屁で出ていく奴」です。
以前、何人か交えてですが役者さんとご飯を食べに行く機会があったんです。その時、その役者さんが演技論をめっちゃ語っていて……。それが「そんなに語る!?」っていうほど長かったんですよ(笑)。でもこれは聞く側の姿勢であって、「自分にとって為になる話だ」という気持ちで聞けば、すごくいい話だったりすると思うんです。だから決して役者さんに対する嫌味ではありません!(笑)。語る側ではなく、“語られる側の度量のなさ”を表現したかったんですよね。
後藤:僕は、『足パンパンにさせられた上に「足パンパンは邪魔や」と解散告げられる奴』です。
タイトルもすごいですけど(笑)、お客さんも次どうなるか想定できるような流れで、コントとしてはすごくベタな笑いなんです。(展開が)わかってはいたけど、笑っちゃう感じ。そのベタさが好きですね。
毎年、年に2回は全国で単独ライブツアーを行っていますが、相当な量のネタ案を出されていると、別の記事で読みました。
後藤:そうですね。僕らは大量生産型なので。ライブ前に大体1カ月くらいで150本くらい案を出します。そのうち10本くらいをライブで披露するといった感じで。それが年に2回あるので年間300本くらいは作っていることになります。
300本ってすごい量ですよね。
後藤:ライブで採用されなかったネタは、YouTubeのジャルジャル公式チャンネルで日々アップしています。YouTubeで毎日コントをアップするって、実はあんまり誰もやってないなって思って。そういった挑戦は常にしていきたいと思っています。
ジャルジャル公式チャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UChwgNUWPM-ksOP3BbfQHS5Q
2017年は涙したほど悔しかったM-1グランプリ。「2018年は、お風呂に入ったような清々しい気持ちで終われた」
ジャルジャルさんといえば、2018年のM-1グランプリで披露したネタ「国名わけっこ」が実はアドリブだったということが、すごく話題となりましたね。
※まだこのネタを観てない人はジャルジャル公式YouTubeをチェック!
福徳:「本当にアドリブだったんですか?」ってよく聞かれるんですけど、はっきり言ってあんなの全部覚えられません(笑)。
確かに(笑)。
後藤:もちろん、まっさらな状態ではありませんけど、ある程度かためながらも決めすぎないくらいでしたね。
福徳:あのゲームをいっぱい練習したっていう感じです。
なるほど。ジャルジャルさんにとって2018年のM-1グランプリはラストイヤーだったと思うのですが、残念ながら優勝は逃してしまいました。2017年は終了後に福徳さんが涙するというシーンがありましたが、2018年の時は終わった後、どういった心境だったんでしょうか。
福徳:2017年は死ぬほど悔しかったんですよ。でも2018年の場合、来年(2019年)は出られないわけで、それってもうどうしようもないじゃないですか。だから「これがマックスの実力や」みたいな感じで、むしろ清々しかったですね。学生時代ラグビー部だったですけど、ラグビー部を引退した日のような感覚。
では後悔とかもなく?
福徳:悔しいは悔しいんですけど、お風呂上がりのような気持ちよさもありました。「キレイになったわ〜!」みたいな。
後藤:僕もそうですね。1本目のネタの時に3位だった時点で、正直優勝は厳しいなと思っていました。そういうのって感覚でわかるので。だから「2本目が気持ちよくできたらOK!」という感じでした。
2018年はM-1ラストイヤーで、長年レギュラーだった番組「めちゃイケ」終了などもあったと思うのですが、今後やりたい活動や目標あったりするんですか?
後藤:まずは単独ライブやYouTubeで毎日動画をアップするということを、今後もライフワークとして続けていくことですね。あとは先ほど話したYouTubeのように、誰もやったことないようなことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。まだまだ誰も思いついてないような試みって、たくさんあると思うので。
福徳:昨年、「六本木アートナイト」(※)というアートイベントに初めて僕らも参加させてもらったんです。こういうアート作品をまたやってみたいです!
(※)「JART(ジャール)」というパフォーマンス名で、『ひったくられ続けるバッグ』という作品を展示。(布製のバッグを持った男(後藤淳平)とそのバッグを奪い取ろうとする男(福徳秀介)の何度にも及ぶ格闘の中で、その格闘の熱量の集積としてボロボロになった布製のバッグを展示するというもの。
近年の男性ファン急上昇の秘密は、年齢にあった!?
2018年は結成15年という節目でもありましたよね。デビューして間もない頃から第一線で活躍されていますが、昔はよく「尖ってる」と表現されたり、実力がありながらもアンチも多いイメージがありました。でもここ数年、「笑いの方向性を貫き通してるジャルジャルさんはやっぱりすごい」とか「M-1で毎年自分達のスタイルを変えない姿を見て好きになった」という声もよく聞きます。ご自身ではどう思われますか?
福徳:う〜ん、「スタイルを貫いたから」というよりは、この現象は男特有のプライドなんじゃないかと。
プライド?
福徳:男って、年下の男に笑かされたくない生き物なんですよ。10年くらい前は、まわり見ても大人ばかり。芸人の中でも若い方だったので、男性ファンがつきづらかったんです。いたとしても高校生とか大学生の男の子とか、やっぱり年下なんですよね。今35歳なんですけど、昨年全国ツアーをまわった時に「男性のお客さん、増えたな」と感じたんですよ。で、アンケートとかの年齢を見てみると20代〜30代前半とかで、やっぱり年下なんですよね。
なるほど! ジャルジャルさんが年齢を重ねたことで、必然的に男性ファンが増えていくという……。
後藤:僕達のYouTubeを見てくれているユーザーも、20〜30代前半が8割くらいなので、まったく同じ感じなんですよね。
福徳:あとこういう取材で聞かれる質問もだいぶ変わりました。昔は「相方の嫌いなところはどこですか?」とか、「じゃあ好きなところは?」とかアイドル的な質問が多かったんです。
でも最近は、「ネタはどうやって作ってるんですか?」とか、本来聞かれたかった質問をされる。「あ、(まわりの反応が)変わったな〜」って取材を受けるたびに感じます。それは素直にうれしいです。昔はそういうアイドル質問ばかりなのがイヤで、雑誌の取材とかでも噓つきまくってましたから。
そうなんですね(笑)。昔の記事を信じちゃいけないということですね。
福徳:あ、信じちゃダメです。
後藤:10年くらい前の記事は噓情報満載です。本当のことは何ひとつ話していないので。
福徳:絶対にお笑い以外の質問をされたくない、というわけではないんですよ。でもどんだけネタを作っていてもコントをしていても、それについてまったく聞かれないというのは、どうなんだろうという気持ちが昔はありましたね。
後藤:でも2017年のM-1グランプリ終了後あたりから応援ムードみたいなものが漂っていたのは確かに感じてましたね。翌年がラストイヤーっていうのもあって。
お笑いの原点は修学旅行の夜や、秘密基地のノリ。それを変わらず続けているだけ
でもジャルジャルさん独自の世界観はずっと変わらずありますよね。「ジャルジャル」というコンビを一言でいうならば、どう表現しますか?
福徳:一言ではないですけど、「修学旅行の夜のテンション」ですね。あの、妙にツボに入る感じというか、何をしても面白くてはしゃいでしまうような。僕達がやってることって高校生の時からほんまに変わらない。
後藤:そうですね。まさに“秘密基地”でやってるようなことを、みんなに見てもらっている感じです。
お二人自身が楽しくてやっている雰囲気は見ていてとても伝わってきます。SHOWROOMでは「ジャルジャルさんのように成功して活躍したい!」という配信者もたくさんいると思います。お二人のように夢を叶えるためには何が必要だと思いますか?
福徳:夢を叶えた瞬間がどこなのかすごくあやふやなものだと思うし、新しい夢ってどんどん出てきますよね。だから「夢の叶え方」と聞かれると難しいんですけど、なんでこの仕事を続けていけてるかというと、僕の場合は定期的に「うおおおおおお!」ってなる時があるんですよ。この、「うおおおおおお!」ってのがあるから頑張れる。
「うおおおおお」とは!?
福徳:未来の自分にワクワクする「うおおおおおお!」ですね。芸人になりたての時は週に1回くらいはあって、今でも月1回はあります。「5年後の俺はどうなってんやろ?」「10年後はどうなってんねん!」って考えるとワクワクするし、頑張ろうという気持ちになれます。
数年後の自分にワクワクするなんて素敵ですね!
後藤:僕は舞台をやるたびに、「今回はお笑いの年表に載るくらい、いいものができた」と思ってやっているんです。自分で思ってるだけなんですけど。でもそれを繰り返していくことが大事なのかなと。
なるほど。言い換えれば常に「ベストを尽せている」ということでもありますよね。その積み重ねというか。
福徳:僕も毎回、「前回を越えていいものができた!」と思ってます。だからライブの3カ月前とか、まだ何も準備ができていない状態なんですけど、「どんなライブになるんだろう」って毎回楽しみにしてます。考えるのは自分らなのに(笑)。
心からお笑いが好きというのがすごく伝わります!
福徳:恥ずかしながら、僕はジャルジャルの一番のファンですから。家に宣材写真飾ってますもん。
後藤:僕は宣材写真を飾るほどではないです(笑)。
(笑)。では最後になりますが、お二人のこれからの“夢”があれば教えてください。
後藤:芸人としては、引き続きたくさんの人にネタを観てもらうことですね。個人的な夢としては、ひ孫が見たい。
孫じゃなくて、ひ孫なんですね!
後藤:僕も子どもがいるんですけど、おじいちゃんおばあちゃんに会わせたんです。その時、「ひ孫を見られるおじいちゃんっていいなぁ」と思って。
福徳:僕はビッグマウスでいうと、日本一のお笑い芸人になり、そして世界一のコメディアンになりたい。目指しているのはチャップリン越えです。ちょっとチャップリンが時代を引っ張ってる期間が長過ぎるので、そろそろ追い抜くヤツが出てこないといけないのかな……と。
チャップリンは世界中の人に愛されてますもんね。
福徳:今は“世界一のコメディアン”といえばチャップリンなので。そこを僕達が塗り替える!
ジャルジャルさんが数年後にどんな活躍をしているか、ワクワクします! 次回のライブも楽しみにしています。
編集から
2017年、2018年とM-1グランプリをリアルタイムで観ていたので、「まわりの応援モードを感じた」という後藤さんがおっしゃったのには深く共感した。
とはいえ、2人は至って淡々とした様子。
「自分達が楽しんでいるお笑いを、みんなにこれから見てもらいたい」という気持ちがすごく伝わってきた。この芯がブレないからこそ、長い間に渡って愛され、活躍しているのだろう。
きっと、これからも挑戦し続けるスタンスは変わらず、独特の世界観で笑いを茶の間に届けてくれるに違いない。
【Information】
2018年の全国ツアーDVD「JARU JARU TOWER 2018 ジャルジャルのたじゃら」が発売中!
ツアーのために書き下ろしたオール新作コント。一つひとつのコントの面白さはもちろん、最初から最後まで観ればさらに面白さが倍増するはず。独特の構成で観客をジャルジャルの世界に連れていってくれます!ぜひライブ映像でご覧ください。
「JARU JARU TOWER 2018 ジャルジャルのたじゃら」
〈撮影=米玉利朋子(G.P.FLAG)/取材・文=広瀬蒼乃〉
ジャルジャル
同じ高校のラグビー部だった2人が、2003年にお笑いコンビを結成。独特の世界観で人気を得て、数々のレギュラー番組を持つ。M-1グランプリは13回出場、キングオブコントは11回出場と常連。
広瀬蒼乃
出版社でファッション誌や旅系の雑誌編集を経て、フリーランスに。可愛い子探しと、不摂生な生活を送りながらも健康ネタ集めと実践することが好き。昨年より念願の鎌倉暮らしを実現。
現在、SHOWROOMでは新規イベントを募集しています!
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