INTERVIEW「クレヨンしんちゃん×ピアノ」も自分のキャラもファンが見つけてくれたーー「自分がない」まなまるの仕事論(前編)

「クレヨンしんちゃん×ピアノ」も自分のキャラもファンが見つけてくれたーー「自分がない」まなまるの仕事論(前編)
2021.05.30

 

2021年、人気曲『うっせぇわ』をクレヨンしんちゃんの声で歌いながらピアノを演奏する動画で大きな話題になった「まなまる」こと永藤まなさん。
絶対音感を持ち、20年以上ピアノを続けてきたクラシック畑出身の異色のSHOWROOM配信者でもある。挫折を味わい、ピアニストだった過去を捨て、SHOWROOMを始めてから4年。
彼女のファンはSHOWROOM以外の場所にもたくさんでき、活躍の場も無限と思えるほど広がった。

そんな超多忙なまなまるさんに仕事論を聞いてみると「自分がない」と自己分析。だからこそ、ファンとともに「まなまる」をつくり育ててきたのだという。

今や各種メディアやイベントに引っ張りだこの彼女が、今でも毎日SHOWROOM配信を続ける理由とは?

毎日配信を続けられるのは「待ってくれている人がいるから」

SHOWROOMを飛び出し、今やTVなどの各種メディアでも話題のまなまるさん。そんなまなまるさんにとってSHOWROOMとは?

私にとっての原点ですね。永藤まなとして活動し始めたのがSHOWROOMなんです。

その時々によって「SHOWROOMが自分にとってどんな存在か」というのは変わってくるんですけど、自分を成長させてくれたところでもあり、成長を見守ってくれたところでもあるという感じです。

 

日々忙しい中で毎日SHOWROOMの配信を続ける原動力はどこから?

もう丸4年くらいやっているんですけど「継続して毎日やろう」という気持ちは今はもうなくて、生活の一部になっている感じなんです。
あとは、偉そうな言い方になっちゃうかもしれないけど「待ってくれている人がいるから」配信を続けていますね。

 

きついなあ、今日は配信やらずに寝たいなあ、という日はないんでしょうか?

全然ありますよ(笑)! 単純に「今日は気分がのらないな」という日もあるんですけど、「自分がやりたいからやる」という気持ちはもうあまりないんです。「待ってくれている人がいるのでやる」。配信を始めたら、なんてことないです。やり始めたら楽しくなっちゃって!

SHOWROOMで配信している時の楽しさはどのようなものなのでしょうか?

私はクラシック出身なんですけど、やっぱりクラシックって基本1人なんですよね。演奏している時に誰かとコミュニケーション取ったりとかはないですし、演奏終わった後も拍手で終わりですし。それが嫌だったってことではなくて、SHOWROOMではコミュニケーションを取りながらレスポンスをもらいながらで、一緒にやっているのが感じられて楽しいですね。

 

まなまるさんは、配信中のコメントの返し方がとてもお上手ですよね。リスナーさんが盛り上がっていくような対応で、サービス精神がすごいなあと思います。

ありがとうございます(笑)!

気をつけていることとしては「1対1」の場にならないように、ですね。

もちろんコミュニケーションを楽しむ場所であって欲しいとか「自分が参加している」という感覚を持って欲しい、というのはあるんですけど、みんなで盛り上がれる1つのライブ会場みたいに思って欲しいなあって。

空間を一緒に楽しんで欲しいと思っているので、みんながわかるような内容のコメントをピックアップして、それを広げてコメント返したり、とかしてますね。みんなが「わかるわかる!」って盛り上がって欲しいなと思いながらやっています。

SHOWROOMで鍛えられたのは即興力。他の仕事にも活きてくる

 

そこまで考えながらコメントを返してたんですね! SHOWROOM以外の仕事をする際に、SHOWROOMでの活動が役に立っていると感じることはありますか?

即興力ですかね。やっぱり毎日生配信でやっているので「レスポンスをどうすればいいか」は前よりすごく力がついているな、と感じていて。

もちろん私も最初からできたわけではないし、もともと持っていた力ではないと思うんですけど、インタビューやTV番組の収録などで「言われたことに対してどう返せばいいか」は、SHOWROOMでうまくいかなかったことも含めて学びになっているなあと思いますね。

 

SHOWROOMの配信でどういう時に「うまくいかなかったな」とわかるんでしょうか?

リスナーさんの反応が良くなかった時ですね。レスポンスがすぐに返ってくるところが生配信のいいところで。自分が「これ、おもしろい!」と思って言ったことでも、反応が良くなかったら「あれ!?あんまりおもしろくないかな?」とか。

逆に、何気ないやりとりの中でパッと出た言葉がおもしろい、とかもあったりします。今の私のピアノを即興で弾くスタイルもやりとりの中でリスナーさんに見つけてもらった感じですね。もともと、即興でピアノでリクエストに応えるというのをやっていたわけではなくて。

最初の頃は、リクエストに対して即興でピアノ演奏を返していくというのは難しかったですか?

難しかったです! リスナーさんにリクエストもらったときに曲を知らなくて弾けなくて。でも知らなくても「わからないです、ごめんなさい」で終わっちゃうのもモヤモヤしたんですよね。

それで「1時間練習するので、その後の配信に来てもらっていいですか?」って言ってまた後で来てもらったりしてたんですよ。

 

それは、まなまるさんもリスナーさんもすごいですね!

でも、それが毎回になっちゃうと時間かかっちゃうので、いろんな曲を楽譜に書いて練習したりしてました。そのおかげでだんだん時間が短くなって、パッとリクエストに返せるようになっていった感じですね。

 

地道な努力の積み重ねだったんですね。SHOWROOMでの失敗経験はありますか?

失敗は、日々いっぱいあります……!

選曲ひとつにしてもそうですし、言葉選びひとつにしてもそうですね。意図せずに誰かを悲しませてしまったりとか、空気を悪くさせてしまったりとか。生配信は、自分の発言だったり誰かのコメントだったりの「言葉」が良くも悪くもいろんな方向に力を持つんだな、と思っています。

言葉にはすごく気をつけているんですけど、今でも「やっちゃったな」と思うときはありますね。

ただ、SHOWROOMでよかったなと思うのは表情も込みで伝えられるところ。一言にその場で想いを自分で込められるので、その場にいる方たちはしっかり聞こうとしてくれていると感じますね。

SHOWROOMは距離が近くて、何か他のことをしながら流し見するというよりは自分を見に来てくれている。濃いファンのコミュニティなので、聞いてもらっている安心感があります。

ファンのリクエストでまなまるがつくられてきた

クレヨンしんちゃんに行き着いた経緯やご自身のキャラを確立できた理由を教えてください。

クレヨンしんちゃんに行き着いた経緯は、単純にSHOWROOMでリクエストがあったからですね。もともと全くやるつもりはなかったんですよ。「クレヨンしんちゃんのモノマネをする女の子」はもう世の中にたくさんいたので、今さら感があるかなと思っていました。

モノマネ自体は配信の中でリクエストがあればネタとしてやっていたんですけど、その中でリスナーの方から「クレヨンしんちゃんとかできそうだよね」って言われやってみたら「すごく似てるじゃん!」「おもしろい!」って言ってもらえて。

他の曲をクレヨンしんちゃんの声でやったのか、クレヨンしんちゃんの曲をやったのか覚えていなんですけど、覚えていないくらいいつもの流れでリクエストをもらい、サクッとやったんですよ。

 

それほど、日常の何気ない一コマだったんですね。

そうなんです。私の中ではなんとも思っていなかったんですが、みんなの反応が良かったので「あれ、これはイケるのかな?」と。

それで、Twitterでまずは投稿してみました。そのときは「絶対音感を持っているピアニストがクレヨンしんちゃんの声を絶対音感で習得してしまった」みたいな文言で呟いたんですね。そしたら結構話題になって、動画の視聴数が伸びたんです。

その時のコメントで「絶対音感を持ってるのにクレヨンしんちゃんの声でたまに音を外しながら、でもピアノは正確に弾くのがすごい」というのが結構あったんですね。

私は何も考えずにやっていたので「あ、そこがおもしろいんだ!」と初めて気づきました

 

「クレヨンしんちゃん」という切り口自体もファンの方が見つけてくださったし、それがなぜおもしろいかもファンの方々が分析してくださったんですね。

はい。なので、自分発信ではなくすべてが第三者の視点のおかげで、という感じですね! そこから「じゃあ何がおもしろいかな」と考えると「ミスマッチ」なんですよね。「しんちゃんが言わなそうな歌詞の曲」とかテンションとか。

Twitterは半年くらいほぼ毎日投稿してたんですけど、その時に「何が伸びるのか」を結構分析してました。自分で「これはおもしろいかな」と考えて投稿したりとか、コメントで「こ
れがおもしろいね!」と意外なポイントで反応もらったりとか。

それで本当にバズったのは、今年の1月に『うっせぇわ』をしんちゃんで歌った時ですね。
曲としても流行していて、しんちゃんが言わなそうなセリフで、ピアノの演奏も映える
曲なんですよね。なので、いろんな要素が噛み合った、というのはありますね。

 

ファンの方が見つけて分析してくださった「おもしろさ」を、まなまるさんがさらに分析していろいろ試して行き着いた感じがしますね。「配信者としてのまなまる」さんのキャラも、そうやってファンの方によってつくられていったんでしょうか?


私、キャラとしても本当に0からはじめたんですよ。もともとクラシックをやっていて挫折をして実家に帰ろうと思っていたときにSHOWROOMでの配信を始めたんですけど、名前も変えて経歴も全部消して始めたんです。ピアニストだったことも出さずに。

今の自分のキャラクターは、ファンの方々によってつくりあげられている、という形ですね。

(後編につづく)

まなまる YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCeK7QeXIq5OipybyK9bfijg


〈撮影=深水周二郎/取材・文=榮田佳織〉

まなまる(永藤まな)

まなまる(永藤まな)

1993年1月8日長野県生まれ。
幼少期よりピアノを習い、音高、音大を卒業。
2016年より"永藤まな"の名義で活動をスタート。
2017年ライブ配信アプリ『SHOWROOM』にて年間最優秀賞に選ばれる。
その後、ピアノ活動と並行し、タレントとしても精力的に活動し数々のテレビ、ラジオ、ネット番組、雑誌、広告に出演。

ピアノ演奏のみならず、そのタレント性から各方面で精力的に活動中。
また、クレヨンしんちゃんの歌モノマネ「もしもクレヨンしんちゃんが〇〇を歌ってみたら」が各SNSで反響を呼び、さらに注目を浴びる。

2021年5月1日現在
・Youtube フォロワー52万人 
・YoutubeLIVE同時視聴最大1万6千人を記録
・tiktok フォロワー36万
・twitter フォロワー10万8千人
・SHOWROOM フォロワー2万2千人

SHOWROOM
https://www.showroom-live.com/NagafujiMana
Twitter
https://twitter.com/nagafujimana75
Instagram
https://www.instagram.com/manamaru_nun/
榮田佳織

榮田佳織

福岡県生まれ。IT系企業などを経て2021年よりフリーランスに。
記事の企画・編集のほか、ブランディング、マーケティング支援などを行っている。興味関心は地方移住・他拠点居住・Well-beingな生き方・組織。

Twitter
https://twitter.com/kaorisakaeda

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