
SHOWROOMで「まなまる」として愛されるだけでなくTVやラジオ、イベント、SNSなどで「クレヨンしんちゃんの人」「ピアノの人」としても広く認知されるようになった永藤まなさんのインタビュー。
前編では「クレヨンしんちゃん×ピアノ」といった彼女を一躍有名にした持ち技や、彼女自身のキャラクターも「ファンが見つけてつくりあげてくれた」と語ってくれたまなまるさん。
後編では「自分がない」からこそ「求められているものに応えたい」、その一方「飽きられないか」という不安を感じたこともあったと打ち明けてくれた。
順風満帆に見える彼女の不安を救ってくれた「ある人」の一言とは?まなまるさんのこれから、に迫る。
もともと「自分がない」からこそ求められているものを返していく
まなまるさんの人生でクラシックやピアニストであったことは切っても切れない要素だと思うのですが、なぜSHOWROOMで最初はそういった要素を出さずキャラクターも0からスタートしたのでしょうか?
クラシックでうまくいかなかったからです(笑)。
音楽を好きだからやっていたんですけど、うまくいかなかったので一度人生をリセットしたいと思ったんですよ。20年以上クラシックをやってきて、その中でも何度も挫折はしてきたんですけど「もうこれ以上は無理だ!」ってなった瞬間があって。
でも配信を始めてすぐにクラシックの一面を出しちゃったんですけどね(笑)。それは、配信する中で「何かパフォーマンスを考えたほうがいいかな」と思い始めて、部屋の中にピアノがあるので演奏してみたらファンの方の反応が良くて。そこからピアノを弾き始めましたね。
あとは、まなまるとして天真爛漫な明るいキャラを意識しているのですが、これはクラシックの敷居が高いイメージを払拭して興味を持って楽しんでもらいたいからです。
いわゆるクラシックをやっている人っておしとやかなイメージがあると思うんですが、聞く方としては敷居が高いですよね。かしこまって聞かなきゃ、とか難しそう、とか。そういったイメージを払拭できたらな、と思ってます。
クラシックへのイメージを変えたくて、今のまなまるさんがいるんですね!
最初の配信の頃と比べると、今のまなまるはテンションがかなり高くなってます(笑)。配信ボタンを押すと、自動的にそうなっちゃいますね!
配信ボタンを押すと自動的に……プロの仕事、という感じですね! もともと天真爛漫な性格なんでしょうか?
全然! わたし、もともと自分がなくて。1人でいる時なんか「無」って感じです。結構昔から、まわりに合わせて自分のキャラクターを変えるところはあったかなと思いますね。
あ、求められているものに応えたいタイプですね。いわゆる承認欲求みたいなものだと思うんですけど、求められているものに応えることが承認を得るのに一番早いプロセスかなって。誰かに喜んでもらいたいとか「すごいね」って言われたいとかはやっぱりあったので。
もともと小さい頃から「求められているものになりたかった」ですね。
ピアノも他者の期待に応えるために始めたり続けていたりしたんでしょうか?
ピアノを続けていた理由はそうかもしれないです。
ピアノを始めた理由は覚えていないんですけど、母に聞くと私が「やりたい!」と言ったようです。両親はやりたいことはやらせてくれる教育方針だったので、いろんな習いごとをしていたんですが、その中の1つにピアノがあったんですよね。
続けていた理由としては、ステージで拍手をもらえるのが嬉しかったんです。緊張はするんですが、演奏し終わって「良かったよ」とか褒めてもらえることがすごく嬉しくて。それがピアノを続ける原動力でした。
ピアノをステージ上で弾いて褒めてもらえて、という経験は、SHOWROOMでの活動にもつながっていたりしますか?
それはもう、本当にそうですね! 「見てもらっている人に喜んでもらえるのが嬉しい」というのがピアノをステージで演奏していた頃から変わらない、一番の原動力です。
それを表現するのが結果的に、成績が伸びたピアノだった。他のことでも良かったのかもしれません。
長くファンに愛されるには「同じことを続ける」こと
最近、ファンの方に喜んでもらえたなとか、言われて嬉しかったなと思ったコメントってありましたか?
嬉しいコメントはたくさんあるんですけど、ピックアップするなら……なんだろう。あ! 「まなまるさんがきっかけでピアノ買いました」とか「やめていた音楽を再開しました」とか。
やっぱり私は音楽というかクラシックに最終的に興味を持ってもらえたら嬉しいなとは思っているんです。配信の中でも、盛り上がってきたタイミングでクラシックを挟むとか間口を広げられるようなことをやっているんですけど「全然興味なかったクラシックのCDをこの前買いました!」とか言ってもらえた時はすごく嬉しいですね。
まなまるがきっかけになって、まなまるを超えてその先のクラシックにファンの方の興味が移っていくのは嬉しいなと思います。
ファンの方の興味がまなまるさんから別のものに移っちゃっていいんですか!? 寂しくないですか?
いえ、全然いいですよ(笑)。私はクラシックに親しむきっかけになったら、くらいです。
まなまるさんは「自分を貫きたい!」という感じがしないのが特徴的ですね。
あはは。私、全然自信がないんですよ。ピアノを続ける中で「すごいなあ、敵わないなあ」という人たちはたくさんいましたし。自分の才能の1つ1つを見ていくと「これで1番になれる」ってものはないんですよね。
自分のことを器用貧乏だなあとは思っています。根はクソ真面目なので(笑)、しっかり勉強とか練習とかして7〜8割は取れるようにしていたりはします。そういった器用貧乏なところも含めて、まなまるとして確立していけたらなと思ってます。
かなりご自身を客観的に観察されていますね。そんなまなまるさんにお聞きしてみたいのですが、長く配信者としてやっていける方に共通する要素や能力はどんなものだと思いますか?
「同じことを続けること」だと思いますね。
配信をやり始めて私自身、一番最初に当たった壁が「飽きられないだろうか」という不安だったんです。同じことを続けていて大丈夫かな、とすごく不安で。
それで「SHOWROOM主義」という前田さんが以前やっていたラジオ番組でゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんがゲストとして来た回にアシスタントとして出させていただいたんですが、そのことをぽろっと鬼龍院さんに相談してみたんですよ(笑)。
そうしたら鬼龍院さんが「そんなことはいいんだよ」と。
「ファンの方にとっては毎日まなまるさんがそこにいて、ニコニコしてくれていることが1番大事なんだよ。キャラクターが確立してくればそれを求めてくるファンの方たちがいるんだから、同じことをずっとやり続けるのも価値」みたいなお話をしてくれたんです。
それで納得して、結構救われましたね。ファンの方たちが求めてくれるような人にまずはなって、そこからはそれを継続するのが大事なのかなーとは思いますね。
すごく納得感あるお話ですね。鬼龍院さんがおっしゃったからこそさらに、というか。
そうなんですよ(笑)!すごく腑に落ちました。
1本筋が通っている人はかっこよく見えますよね。
むしろ、配信者側だと筋を通していないとやっていけないというのはありますね。自分自身も指針が見えて安心しますし。まなまるという名前を知らなくても「ピアノの人ね」とか「クレヨンしんちゃんの人ね」とか言ってもらえると嬉しいです。
「これになりたい」という目標はない。過程を楽しんでいきたい
確かに「◯◯の人」と認知されるようになると良さそうですね。活躍の場がSHOWROOM以外にもどんどん広がっているまなまるさんですが、今後やってみたいことや目標はありますか?
「これになりたい」というのはないんですよね(笑)。こう言うと「目標はないのか」と言われるかなーとか「目標があった方が応援しやすいよなあ」と思ったりはするんですけど。
「まなまるが誰かにとって楽しめるものであったらいいなあ」「最終的には音楽、クラシックに親しむきっかけになれたらないいなあ」とは思っています。
なので、私としてはそのきっかけになれるように、大きな括りでのエンターテインメントを追求していきたい。その中でこれからも「こんなことやってほしい」とか「こんなことできませんか?」っていろんなことを言ってもらえると思うので、それを1つ1つ自分の芸にしていきたいです。
将来どうなるかわからないのは不安もありますけど、クラシックピアノを自分の中で一度やり切ったと言う経験もあって、なるようになるかなと思っています。配信を始めてからの4年間、いろいろと新しい経験をしていくのが自分自身楽しかったので、これからもその過程を楽しんでいきたいですね。
まなまるさんがもっとわかる!一問一答!
Q.憧れの女性像は?
クラスの人気者! 私は優等生タイプでそうなれなかったので(笑)。
Q.座右の銘は?
謙虚に貪欲に!
Q.今ハマっていることは?
何だろう…(悩)。ネタ集めかな!?いつも「今、何が流行ってるんだろう」と常に考えたり情報収集したりしてます。
ずっと好きなのは恐竜や深海魚の図鑑を見ることですね!
Q.原動力は?
求められること、喜んでもらえること!
Q.休日は何をしていますか?
睡眠! 本当に何もしなくていい日があるとしたら丸1日寝てると思います。
編集から
頭の回転が早く、賢い人。
これがまなまるさんにインタビューをした感想だ。こちらからの質問に対し「聞いているよ」という安心感を与える相槌を心地よく打ってくれながら、瞬時に的確な答えが結論ファーストで返ってくる。そしてこちらから突っ込まなくても、その答えを裏打ちするようなエピソードが続く。想定していた回答の200%以上で返してくれるような印象だ。
さらに終始笑顔をたやさず、こちらからの質問や相槌に無邪気に笑ってくれる。これは、もしもピアノや絶対音感という武器がなくてもまなまるさんに多くのファンがつくのは当然だなと思った。
彼女の仕事論には心打たれるものがあった。今回の前編・後編記事は、まなまるさんと同じような配信者の方はもとより、他の多くのプロフェッショナルを目指す、またはプロフェッショナルであり続ける方に刺さる記事になったと思う。
これからのまなまるさんのさらなるご活躍を楽しみにしています!
ファンになった一人より。
〈撮影=深水周二郎/取材・文=榮田佳織〉
まなまる(永藤まな)
1993年1月8日長野県生まれ。
幼少期よりピアノを習い、音高、音大を卒業。
2016年より"永藤まな"の名義で活動をスタート。
2017年ライブ配信アプリ『SHOWROOM』にて年間最優秀賞に選ばれる。
その後、ピアノ活動と並行し、タレントとしても精力的に活動し数々のテレビ、ラジオ、ネット番組、雑誌、広告に出演。
ピアノ演奏のみならず、そのタレント性から各方面で精力的に活動中。
また、クレヨンしんちゃんの歌モノマネ「もしもクレヨンしんちゃんが〇〇を歌ってみたら」が各SNSで反響を呼び、さらに注目を浴びる。
2021年5月1日現在
・Youtube フォロワー52万人
・YoutubeLIVE同時視聴最大1万6千人を記録
・tiktok フォロワー36万
・twitter フォロワー10万8千人
・SHOWROOM フォロワー2万2千人
榮田佳織
福岡県生まれ。IT系企業などを経て2021年よりフリーランスに。
記事の企画・編集のほか、ブランディング、マーケティング支援などを行っている。興味関心は地方移住・他拠点居住・Well-beingな生き方・組織。
現在、SHOWROOMでは新規イベントを募集しています!
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