INTERVIEW【特別対談!MAYA×小田切大】SNSが発展した今の時代。「音楽を届けるのに大切なこと」とは?

【特別対談!MAYA×小田切大】SNSが発展した今の時代。「音楽を届けるのに大切なこと」とは?
2019.01.09

SHOWROOMの楽曲提供イベントでコラボした、SHOWROOM演者のMAYAさんと、作曲家の小田切大さんの特別対談インタビュー。今の音楽界に必要なもの、大切なことを語ってもらった。

楽曲提供イベントで見事1位を獲得したMAYAさん。SHOWROOM Magazineでも以前取材をさせていただき、音楽やファンについて熱い想いを語ってもらった。

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そして、MAYAさんに楽曲提供したのが自身もアーティストであり、作詞・作曲家でもある小田切大さん。2015年にはオリコン1位に輝いた乃木坂46の『おいでシャンプー』を作曲するなど、さまざまな人気曲を生み出している。

今回は小田切さんがMAYAさんに楽曲提供した新曲『ハニカミ』リリースを記念して、2人の対談企画を実施。
『ハニカミ』制作についてのほか、「音楽を人に届ける上で、大切なこととは何か」を語ってもらった。

「君が好き」というフレーズは、SHOWROOMリスナーに向けての言葉

まずはMAYAさん、楽曲提供イベント1位獲得おめでとうございます。今回のイベントはいかがでしたか?

MAYA:楽曲提供してくださる小田切さんが乃木坂46さんの2ndシングル『おいでシャンプー』の作曲家だということで、私が「このイベントに出ます」と発表した時に、リスナーさんたちがすごく喜んでくれたんです。「『おいでシャンプー』、大好きです!」という声がとても多くて。だから「これは頑張ってほしい!」という激励メッセージをいつも以上にたくさんいただきました。

小田切大(以下、小田切):それはうれしいですね。でも、あの曲は秋元(康)先生の歌詞がとてもステキなんですよ。タイトルはかわいらしい印象ですけど、内容は切ないドラマがちゃんとあって。

MAYA:配信で何度も歌わせてもらって、私もますます好きになりました!

 

イベント中、大変だったことはありましたか?

MAYA:う〜ん、イベントはいつも大変です。リスナーさんたちは、忙しい中時間を作って星投げしてくれたり、ずっと応援してくださっているので……。

小田切:本当にみんな、すごいですよね。

MAYA:でも、みんなで楽しみながら参戦できたとは思っています。

 

小田切さんは、イベント中に参加者のSHOWROOMの配信を見たりしたんですか?

小田切:イベントが終わってから、MAYAさんの配信を拝見しました。すごいですね、ひとりひとりにずっと挨拶していて(笑)。ライブ会場だったら観客席に向かって「みんなありがとう!」って1回言えばいいだけですけど。

MAYA:(笑)。しかも小田切さんコメントもしてくれたんですよ! 楽曲提供してくれた方がルームに遊びに来て、コメントまでしてくれたのは初めてです。リスナーさんも「小田切先生だ〜!」と大喜びでした。

小田切:喜んでくれたならよかったです。あんまり前に出過ぎてもよくないかな?とも思ったんですが(笑)。

『ハニカミ』は、MAYAさんに決まってから制作されたんですか?

小田切:はい。完全に決まってからのオーダーメイドでしたね。

MAYA:もう本当に素敵な曲で……ありがとうございます。

 

この曲はどういう気持ちでつくられたんですか?

小田切:新人さんということもあって、フレッシュな感じにしたいな、というのはまず最初にあって。あとMAYAさんは、毎日配信しているだけでももちろん素晴らしいことですけど、ただ「売れたい」とかそういう感じではなく、とても愛を感じたんですよね。

MAYA:うわ、うれしい…。

小田切:ファンにもとても愛されてるし、MAYAさんもファンのことをすごく考えていて。SHOWROOMという空間が本当に好きなんだなというのが伝わってきたんです。なので、そういう気持ちを表現したいと思って。そこから、“初恋”をテーマにしよう、と。それで“大人でも歌える初恋”という感じにしました。

 

MAYAさんは最初に聴いた時、どう思いましたか?

MAYA:最初はメロディーだけを聴かせていただいて、その時は「かわいらしい曲だな」という印象だったんですけど、歌詞がついたのを聴いてみたらまた違った雰囲気になりましたね。ただかわいいだけじゃなくて、いろんな人の心に響くような曲。それぞれの人がその人なりの気持ちを思い出しながら聴いてもらえるような曲だなと思いました。

小田切:SHOWROOMはリアルタイムで演者とファンがやりとりする空間なので、広い意味でのメッセージというよりは、もっと個人に届くような言葉選びは意識しましたね。これを聴いて1日元気になってくれたらいいなという想いを込めてます。

MAYA:あと今回は、曲ができる前から小田切さんと何度もお話させていただく機会をいただいたんです。私のスケジュールの都合でオンライン上ではあったんですが。いつもは最初からできたものをいただく形だったので、楽曲制作のはじめから参加させていただいたのは初めての経験で、それがとてもうれしかったですね。歌詞も相談しながら何度も変更したりしたので、すごく曲に入り込みやすかったです。小田切さんもとにかくやさしい方なので、緊張せずお話できました。

小田切:おお。それは、ありがとうございます!

 

レコーディングした時はどうでしたか?

MAYA:レコーディングでも私が歌いやすいように細かくアドバイスをしていただきました。一番印象に残っているのは、「君が好き」というフレーズがあるんですけど、小田切さんからの「リスナーさんに向けて歌ってください」という一言がとても胸に響いて。毎日私がリスナーさんに対して想いを伝えたい、という気持ちで配信しているので、とても表現しやすくなりました。

 

そういったお話を伺ってから改めて曲を聴くと、また違った印象になりそうですね!

デジタル時代だからこそ、歌い手の「気持ち」が最も大事。小手先の演出では通用しない

この10年でデジタルが発展して、音楽業界も凄まじく変化してきました。今回は世代が異なるアーティスト同士の対談ということで、おふたりにSNSなどデジタルが発達してきた現代において、「音楽を届けるうえで大切なこととは何か」をお話いただきたいと思っているのですが。

小田切:それはだいぶこの10年で変わりましたよね。僕がバンド活動を始めてデビューしたのはちょうど10年くらい前で、おそらくCDの売り上げを気にしなければならなかった最後の世代なんじゃないかと。その頃は今の音楽界の常識と真逆で、アーティストはカリスマ的であるべきで、お客さんとのコミュニケーションはほどほどに……という教育を、僕は受けてました。

でもこの数年でぐわ〜!と時代が変わっていって、いろんなツールが増えたことによって、むしろどうやってコミュニケーションを上手にとっていくか、いかに密な関係をつくっていくべきか……という考え方になっていってますよね。

MAYA:そうですね。今は以前よりSHOWROOMやTwitterなどのツールを使って直接気持ちを届けられるので、デジタルだからこそダイレクトに「自分の音楽」が届くような気がします。それに、技術も発展しているからすごくクオリティの高いCDは作れるじゃないですか。だからこそ、そのCDを越える歌を配信では歌いたいとは思っています。

「これじゃCD聴いてた方が良かった」ということにはなりたくないし、聴きにきてもらっている価値があるものにしていきたいです。同時にリスナーさんからも「今日の歌、こういう気持ちが伝わって良かったよ」とか歌に対する感想もすぐに聞けるので、そういったコミュニケーションはとても大切にしています。

小田切:たしかに。CDの売り上げにもこだわらなくなってきてますよね。

MAYA:私もあまりこだわらないですね。同じ音源ではなく、今自分が感じている想いを歌で伝えていきたいし、その時間がとても幸せに感じます。

 

楽曲そのものの良さだけじゃなく、気持ちや時間も一緒に楽しめるということですね。

MAYA:はい。私もリスナーさんも、日々いろんな気持ちで生活していて、SHOWROOMではそういう気持ちや時間をリアルタイムで共有できる。例えば毎日「ハニカミ」を歌っていても、その日によって全然違う「ハニカミ」を届けることができるし、それって録音したCDを毎日聴くのとはまた違った良さがありますよね。ライブは毎日開催することも行くことも難しいので、それは以前では体験できなかったことなのかな、と。

小田切:直接伝えることができる現代だからこそ、より生々しい言葉や気持ちが入ってないといけない気がしますね。小手先の演出で見せようとしたって、通用しない。そういう意味では、本来表現というものがあるべき姿に戻っていると思います。メディアが発展したことによって、やるべきことはシンプルになっている。どちらかというと、僕は今の時代の方が面白いし好きですね。

「今の時代のほうがいい」という人と、そうでない人で分かれそうですよね。

小田切:分かれると思います。自分より上の世代は特に。やっぱり自分たちが経験してきた旧来のメディアのやりかたがしっくりくる、という方も多いと思います。

MAYA:スマホだと画面越しですけど、ライブ会場のような生音にこだわる方は多そうですよね。

 

ではCDの売り上げで競う時代ではなくなってきた今は、何をもって成功といえるのでしょうか。

小田切:そこは難しいところですよね。YouTubeなどの再生回数100万回を目標に設定して、それを達成したらその人にとっては成功なんだろうし……。個々で違いそうですよね。

MAYA:音楽でごはんが食べていけるようになったら……ですかね?

小田切:それはたしかに!そうかもしれないですね。

 

楽曲づくりそのものに関しても変わってきたところはあるのでしょうか。

小田切:曲の作り方自体はあまり変わらない気がします。でも、これからはちょっとしたフリー音源ならAIでプログラミングすればコンピュータで作れちゃう時代になっていきます。楽曲を制作する時は、改めて“人間がつくる価値”を考えていかないとならないとは思います。コンピュータがいくら賢くても、人間のように「何かを伝えたい」とか、もっと単純に「音楽をやりたい」という気持ちや意志はないですから。そういったものが大事になってくるんじゃないでしょうか。

 

人間だからこそ生まれる作品にしたい、と。

小田切:今回の楽曲提供イベントも、ストックから出しても問題はないわけですよ。でもあまりそれはやりたくないなと思って。結局なんだかんだで書き直すことも多いのでストックはあまりしていないというのもありますが、歌い手さんを見て、それに対する答えみたいなものを表現したほうがいいものができるんじゃないかと。

MAYA:ちゃんとコミュニケーションを取りながらの制作だったので、「すごく力を入れてくださってるんだ!」と思えて素直にうれしかったですし、より「自分が持っている以上の力を出さないといけない」と気合いが入りました。ちなみにちょっと話がそれるかもしれないですが、作曲家さんてどんなことを考えながら日々を過ごして、曲のアイディアにしているんですか?

小田切:MAYAさんは作曲しないんでしたっけ?

MAYA:私は作詞ならしたことがあるんですけど、曲は作ったことがなくって。

小田切:人によって全然違うと思いますけど僕の場合は2つありますね。1つ目はとてもロジカルな聴き方。例えば誰かの曲を聴いて、「こういうリピートの仕方があるんだ」とか。2つ目は、感覚的な聴き方。シンプルに気持ちで聴く。この2つを同じバランスで聴くことがすごく大事なのかなと。ポップミュージックはそんなに大げさな勉強する必要はないと思っていて、どういう風に聴くか、というところを意識していますね。

MAYA:なるほど。勉強になります!ありがとうございます。

 

歌い手も、制作する方も、それを伝えていく過程にも、「気持ち」という部分が改めて非常に大切だということがわかりました。

小田切:そういえば、こないだ作詞・作曲家の森雪之丞さんにお会いする機会があったんですが、その時「この仕事を長くしていくのに、なにかと愛が必要だ」とおっしゃっていて。数々の名曲を生み出してきた大先輩の言葉に胸を打たれました。

MAYA:すごい、素敵な言葉ですね。

小田切:多分、歌い手さんに対してだったりお客さんに対してだったり、いろんなものに対する愛なんだと思うんですけど。何十年も第一線で活躍されてきた方が言うんだから間違いないものかなって。

それは、どんな時代でも変わらずあるべきものかもしれないですね。小田切さんが先ほどおっしゃっていたように、デジタル時代においてはより原点に近づいているのかもしれません。では、MAYAさんにとって音楽界の先輩として、小田切さんからアドバイスをいただいてもよろしいでしょうか?

小田切:いやいや、僕なんて恐れ多いです!むしろあんなに毎日配信してる姿を見て本当に尊敬してるしすごいと思います。僕は真似できないです(笑)。

MAYA:とんでもないです(笑)。ぜひアドバイス、お願いします!

小田切:僕から言えるのは、どんなに成功しても音楽やファンに対する想いだったり、今の気持ちをずっと大事にし続けてほしいですね。

MAYA:本当に、そうですよね。頑張ります。ありがとうございます!

 

今日はありがとうございました。またおふたりのコラボがあるといいですね!

MAYA:ぜひお願いします! 第二弾を(笑)。

小田切:ですね! 楽しみにしています。

編集から

編集することなく、生配信で歌うSHOWROOMは、“個”が前に出てくるツールだ。
いかにファンに対して気持ちを届けられるか、ということが、大切になってくる。
今回の対談で、それを改めて再確認させられた。

きっとSHOWROOMだからということだけでなく、音楽そのものがそういう時代になってきたのだろう。
インタビューでは2人から“気持ち”や“想い”、“人間らしさ”という言葉がたくさん出た。
どんな凝った演出よりも、今の時代にこれらは最も重要視されることなのだと思う。

〈撮影=内田裕介(MAETTICO)/取材・文=広瀬蒼乃〉

 

小田切大・MAYA

小田切大・MAYA

小田切大(おだぎりだい)
1972年12月16日生まれ。作曲家・シンガーソングライター。乃木坂46に提供した楽曲『おいでシャンプー』は初登場オリコン1位を獲得。アーティストとしての活動の他、様々なアーティストやサウンドトラックに楽曲提供するなど、幅広く活動。

MAYA(まや)
2014年からYouTubeへカバー動画の投稿をスタート。SHOWROOMでは2016年に配信を始め、着実にファンを集める。2017年11月には初メジャーCD『永遠に』、今年11月には『ハニカミ』をリリース。2018年SHOWROOM Awardでは優秀賞を受賞。

広瀬蒼乃

広瀬蒼乃

出版社でファッション誌や旅系の雑誌編集を経て、フリーランスに。可愛い子探しと、不摂生な生活を送りながらも健康ネタ集めと実践することが好き。昨年より念願の鎌倉暮らしを実現。

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